おかあさん④


私を生んでくれたおかあさんのことはほとんど覚えていないのですが、2つだけハッキリと覚えているシーンがあります。


ひとつは、ネンネコでオンブされて、タコ焼きをフーフーして口に入れてもらっている場面…(大阪ならでは笑)おかあさんの背中にピッタリくっついた感覚をハッキリ覚えています。嬉しそうな小さな私の顔が見えてきます。あ… だからかなぁ… 私は後ろからペタっと抱きつくのが大好きです♡


もうひとつは… おかあさんが出て行った朝の場面。まだ暑かった記憶があったのですが、父によると9月15日だったそうです。おかあさんは私にすがってオイオイ泣いていました。私は何が何だかワケが分からず事情を把握できていなかったと思います。おかあさんが泣きじゃくりながらいろんなことを私に必死に訴えていたのは覚えているのですが、何を言っていたのかは思い出せません。大人の全体重がどのくらいの時間4歳の女の子にかかっていたでしょうか。私は正座をしていたのか足がしびれて困っていました。いったいいつまでこの状態が続くのかなぁと、おかあさんの言葉よりも足のしびれの方が気になっていました。


それから先の記憶はありません。


父によると、その後、おとうさん、おばあちゃん、妹と4人で何かの劇を観に行ったそうです。その間にトラックが来ておかあさんの荷物を運び出したそうです。もちろん帰宅するとおかあさんはいません。父によると、2歳前の妹が「ママは〜?ママは〜?」とグズっていたそうです。その年齢ならそりゃそうですよね。そこで私は妹をギュッと抱きしめて「大丈夫だよ、大丈夫だよ」。となだめていたそうです。


私、優しいお姉ちゃんだよね〜。おかあさんが泣きながら私に言ったのは「妹の面倒を見てあげてね、仲良くするのよ」。っていうようなことだった気がします。それで私は忠実に妹を守ろうとしたんだと思います。


多分… その時から私は甘えたり頼ったり泣いたりできなくなったんだと思います… これが自立ってヤツですかね。